時間を越える。

 ・新編 クロノス・ジョウンターの伝説 / 梶尾真治
 タイトルに「新編」がつく前のこの本を読んだのは高校時代だっただろうか。そう思って「クロノス・ジョウンターの伝説」が最初に文庫になった時期を調べると、99年6月とあるし、読んだのは実家でのことなので間違ってはいないと思う。
 その本が、映画*1や舞台*2の原作になったことからか「新編」と題されて改めて出版されていたのを見つけ、かつて読んだときの鮮烈な印象と懐かしさに背中を押されて再び手に取ってみた。
 7年弱の時間を越えることで自分の方がスレてしまったのか、設定の弱いところに引っかかったり展開に強引さを感じずにはいられなかった上に、物語の筋も大まかには憶えていたのだけれど、このハッピーエンドであるはずなのに切なくなってしまう不思議な読後感は、かつてと変わらない…というか、かつては言葉にしなかった分、今これを書いている自分の方が深く感じているかもしれない。