雑誌を売らずに単行本を売る。

 雑誌の「IKKI」を書店で見た覚えがない(from id:hinoharu:20070301)…考えてみると「コミックビーム」もあるようなないような。どっちも単行本は良く買うのに。というわけで、コミック雑誌の発行部数グラフをどこかで見た覚えがあったので探す。あっさり見つける。まさかこれじゃ見つからないだろうなあと思いつつ、Googleイメージで「部数 雑誌」と検索したらトップでした。
 ・マンガ雑誌の発行部数一覧|あんちょこ[pwblog.com]
 最初に挙げた2誌は、なんと発行部数ワースト2位&3位。そりゃあ見掛けないわけだ(苦笑)…と思いつつ、上位の方を見て2度びっくり。1位、2位の発行部数ではなく、グラフの最小区切りが15万部だということに。マンガ雑誌って、売れてるんだなあ。…まあ、これは微妙な位置の外野からの視点なので、実際に発行している側からすれば、部数減に悩んでいるのかもしれませんが。
 話を一気にIKKIに戻すと、雑誌としての部数は限界に近いところまで絞っている(ように見える)にも関わらず、単行本は中規模以上の書店のマンガコーナーでかなり良い位置に並べられている(少なくともそう感じている人が結構いる)というのは、実は凄いことなんではないだろうか。
 最近読んだ日本橋ヨヲコのインタビュー*1に曰く、IKKIの基本姿勢は「押しつけでなく、描きたいもの最優先で」*2とのこと。それで単行本が売れるのだから、魅力のある作家、それも普通の「おもしろい」の枠外に出てやっていける作家を見いだすのに成功しているということか。そして、そういうエッジの効いたマンガを多面的に展開することで、そのうち1つが琴線に触れたアーリーアダプタ*3が、他のIKKIの単行本を手に取り、また違った方向の面白さに満足して…という正のフィードバックが生じて、単行本が強いという「IKKI」のブランドが醸成されたのかなあと。なんとなくそういうことを考え(妄想し)た2月の最終日。

 (2007.3.2 追記)「コミックビーム」のはてなキーワードを辿って気付いた。そうか、定期購読者が多い雑誌は発行部数に比べて店頭に並ぶ量が減るから、なおさら店頭で見つからないわけだ。それを忘れていた。キーワード「コミックビーム」を含んでいる作家で単行本を買ったことがあるのは、志村貴子入江亜季安永知澄森薫くらいかな…? ついでに、最近は雑誌の売れ行きがどーとかいう議論が少し流行っているみたいなのでタイトル変更してみる。

*1:G戦場ヘヴンズドア 第1集』巻末所収の「メールによる日本橋ヨヲコインタビュー」

*2:どこの雑誌でも理念的には同じでしょうが、それを貫徹することのなんと難しいことか

*3:そのアーリーアダプタが書店員(マンガ好き)の場合は、直接の影響が出ることになる