book

それぞれの回想、それぞれの景色。

『ブラザー・サン シスター・ムーン/恩田陸』[amazon.co.jp] 「いつも魅力的で肌触りの心地よい風呂敷を見せてくれるが、畳み方が大雑把なのが玉に瑕」という評価の多い著者が、おそらくラストシーンから逆算して描いたのではと思わせる一冊。もしくは、あ…

スカイ・クロラ:水素の実験は続く?(ネタバレあり)

まず最初にお断り。できるだけ映画「スカイ・クロラ」に準拠して書いていくつもりですが、森博嗣作品との付き合いのほうが押井守作品との付き合いよりも長いので、自ずと思考もそちら寄りになるかと思われます。また、映画を観た後に原作を7年ぶりに読み返し…

月は天に居まし。

「昴」の中断から…何年だろう。とにかく、帰って来た。「MOON」というその優しげな題名からは程遠い、躍動。唯一つ、他を圧して夜に輝く傲然たる月。 再開、そして再会。 『MOON 昴 ソリチュード スタンディング』(曽田正人)

第二リハビリテーション。

気付いたら、最近ちゃんと活字の本を読んでいない。これはダメだ。 リハビリしなければ…というわけで選んだのが『鼠と竜のゲーム』(コードウェイナー・スミス)。本当は『ノーストリリア』のほうを読んでみたかったのだけれど、どこにも売っていない。早川…

雑誌を売らずに単行本を売る。

雑誌の「IKKI」を書店で見た覚えがない(from id:hinoharu:20070301)…考えてみると「コミックビーム」もあるようなないような。どっちも単行本は良く買うのに。というわけで、コミック雑誌の発行部数グラフをどこかで見た覚えがあったので探す。あっさり見…

ついに完結。

塩野七生の『ローマ人の物語』がついに完結したそうで。 この1年で、「ローマ人」以外のほぼ全著作を読んでしまったので、そろそろ取り掛かる時が来たということだろうか。…ほぼ、というのは、歴史叙述もの以外の著作が苦手で、2、3読んでいないものがあるか…

すごくうらやましい。

・「ネコビル」でググる[google.co.jp] 今日たまたま、うちの近所に「ネコビル」と呼ばれている立花隆の仕事場がある、と人に教える機会があったので、イメージ検索をしてみたわけです。すると…これ、全部あのビルの中の本棚? というような、棚という棚の画…

4分の3拍子。

最近は長編にチャレンジする時間的+精神的余裕がないので、どうしても短編集か薄い文庫に偏りがち。そんな中で、星雲賞のネームバリューに惹かれて、まだ読んだことのなかった作者の中編集を一冊。老ヴォールの惑星 / 小川一水[amazon.co.jp] 決してハード…

Quotes of the Day.[3]

時はその秘密の重みを消してしまうであろう。人生はつづいて行くのだ。from P.D.ジェイムズ「女には向かない職業」 秘密だけに限らず、記憶についても同じことがいえるかもしれない。きっと、重みの減り方が遅い記憶を、思い出と呼ぶんでしょう。いつかはゼ…

Quotes of the Day.[2]

これがたったひとつの冴えたやりかた。ハン・ルー・ハン、だれか聞こえる?from ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』 自信と理性と行動力に満ちた少女が、決意の後に放った問いかけ。 そこに顔を覗かせる、勇気と不安の二重…

Quotes of the Day. [1]

嘘をもうひとつだけ、欺瞞の時代がついに終わるときまで、ほかの嘘を相殺するために。from グレッグ・イーガン『血をわけた姉妹』(短編集『しあわせの理由』所収) 汝の隣人を愛するように利他的な嘘は、美しささえ感じさせる。

時間を越える。

・新編 クロノス・ジョウンターの伝説 / 梶尾真治 タイトルに「新編」がつく前のこの本を読んだのは高校時代だっただろうか。そう思って「クロノス・ジョウンターの伝説」が最初に文庫になった時期を調べると、99年6月とあるし、読んだのは実家でのことなの…

Benvenuto.

近頃…と言っても軽く1年以上は前からだけど、話のメリハリ(緊張感の強弱)の付け方が面白くて気に入っている漫画家さんのサイトの日記コーナーをアンテナに登録していたところ、日記CGIのパスが漏れたのか、それともBBS用のCGIを転用していて書き込み用ペー…

復刊決定。

かなり前から探していて、区立図書館にあることが分かったものの、何となく借りる気がせずそのままになっていた、高野史緒の「架空の王国」が来春の復刊に向けて準備が始まったらしい。復刊.com偉い。…でも値段が元の倍とかだったらスルーしたりして。 この…

神田古本まつり - Part.2

リベンジということで、途中すずらん通りの本屋をひやかしながら、てくてく三省堂会場へ。…うーむ、なかなかこれという本がない。買っても結局読まずに積みそうな本…も安いんだから買えばいいのかもしれないけど買わず。結局一通り見て回って1冊。 『最後の…

神田古本まつり - Part.1

別名、秋の無駄遣い祭り…というのは今考えた名前ですが。 飯田橋方面から接近していったので、当然岩波会場から見て回ることになる…予定だったけど、1時間半も下を向いて本の背表紙を読み、眺め、時たま手に取って中身や装丁を確認し、とやっていると幾ら面…

都馬の心臓。*1

森都馬氏に黙祷。[ne.jp]…半年遅れ──ドッグ・イヤーで言えば3年半遅れ──で申し訳ないけど。 うーん、やっぱりお別れのときは来るんだなあ、と。そもそも小説に出てくる西之園家での姿や、森氏のサイトで見られた姿しか知らない訳だけれど、いつの間にか好き…

歩き回ったら微妙に疲れた。

東京国際ブックフェアに行ってきました。 結論。朝イチで行って正解。お昼を過ぎた辺りからどんどん人が増えてきた上に、児童書フェアが会場の真ん中で開催されてて子供が多かったので、見たいところを一通り回り終わって、学校の授業関係でお知り合いになっ…

最初の一文とタイトル。

最初の一文で読者をその気にさせる小説はいい小説だと思う。それと同時に、美しいタイトルはそれだけでその本を読む価値があるものにしてくれる。 よくあるクイズとして、ある小説の冒頭を提示して、そのタイトルを当てさせるものがある。そういうクイズで、…

Now Reading...

ダウンロードしたっきりで忘れかけていたソフトを今更ながら活用…ということでNowReading[haneotoko.web5.jp]を使ってみる。ここのヘッダ部分にある、本のタイトルと作者が書いてあるバナーがその出力結果。用意した背景画像に任意の文字を入れたバナーを出…

Can't stop xxxing.

そろそろ読んだことのない人を読んでみようと思い立ったので、いつもの棚(いや、その時々で本屋は違いますが)でよく見る人のデビュー作をさくっと。…と思ってたらぐさっと返り討ちな感じです。そういえば西尾維新とは噂に聞くタンデムローター仲間だよね。…

物語を。

これは、2月頭の試験直前に本屋で見かけ、サブタイトル(どうやらシリーズタイトルらしい…騙された!)と装丁の色合いに手が伸びたついでに何を思ったか勢いで買ってしまった本。試験直前に本屋なんて寄るなよ、とお思いの方もおられるでしょうが、これと相…

折り重なるヴェール。

だんだんレビューを書く頻度を上げて行こうかと。今まで書いてないものをもう一度読む暇はないかもしれないけど。というわけで、ユージニア / 恩田陸[amazon.co.jp]を読んでみました。 巧みな比喩が随所にちりばめられた文章に、ときには共感を覚え、ときに…

ミラレタ!?

…ふとアクセスログを見てみると。 prx1.kodansha.co.jp !? い、いらっしゃいませー。ネコソギラジカルのレビュー、読まれたのかな…。がくがく。 (追記)もっかいみたら「ななななみ」さんとか「らぶみ。」さんも来てるし(笑)

待った来た読んだ。

ネコソギラジカル読了。 原稿は最初の発売予定日に出来ている、という噂もあって、果たしてどんな形で出版されるのか、いやもしかしたらこのまま出版されないんじゃないか、と発売前から話題には事欠かなかったこのネコソギラジカル。こうして最初の一冊が出…

2^6。

ようの漸く手に入れて。 何となく目次を読み飛ばして。 次のページをめくってみたらば。 登場人物紹介に64人て。 再登場がほとんどで、既に死んだ人もいて、もしかしたらこのページにしか載ってない人すらいるのかもしれないけど…、64人はちょっと多いよね。…

遠目系。

幻影博覧会(1) / 冬目景[amazon.co.jp]を帰りに買って来てさっき読んで…激しく良いです。舞台は大正期の東京、主人公は探偵、助手には謎めいた少女、と聞くと最近よくある感じの設定ではあるけど、冬目景の描く少女像が相変わらず素晴らしいので気になりませ…

ここはグリーングリーン。

那州雪絵ってまだ漫画描いてたんだ…というかなり失礼な感想が脳裡をよぎった。でも「魔法使いの娘」をちゃんと買ったので許して下さい。小学生時分に「ここはグリーン・ウッド」を一度読んで、何年後かに思い出して買い集めて…それ以来一応見つけたら買って…

フィクションだとかノンフィクションだとか。

今日はバイトの時間より少し早めに図書館に着いてしまったので、暇つぶしに新聞でも読んでみようと思い、入口を入って左の新聞閲覧スペースへ。そして偶々空いていた東京新聞夕刊の前に座り、おもむろに読み始める。 一面トップはパウエル国務長官の辞任のニ…

ロボットのいる風景を生きてみたいですか?

昨日、図書館でのバイトから帰ってテレビを点けてみるとプロジェクトXをやっていた。テーマは地雷探査装置の開発。元々は道路の舗装に空洞が生じていないかを調査する装置を作っていた、小さな町工場が地雷探査装置の開発に着手し、最終的に大小様々な企業を…